我ながらなかなか良い作戦だったと思う。葵ちゃんにどうしても触れたかったおれは素知らぬ顔でお願いした。
おれ「とても眠いんだ、左の頬をぶってくれないかな?」
葵ちゃん「え?なんで、嫌だよ」
おれ「まあそう言わずにさ、一回で良いんだよ」
葵ちゃん「でもなんで私なの?ゆうじ君にでもやってもらえばいいのに」
葵ちゃんはそれでもおれの左頬をぶってくれた。
葵ちゃんの右手の感触を左頬で全力で確かめながら、葵ちゃんの短い黒い髪の匂いを吸い込みながら、自分の右頬がカラーに食い込むのを感じながら。